恋愛上等 あんたなんか大っ嫌い
長い廊下の一番奥の部屋
「失礼します」
襖をあけ、お父さんの前に座った。
「学校はどうだ?」
「勉強に励んでいます」
前置きにはできるだけいい答えをする。
「そうか。では本題だ」
頭のお父さんの話は私にとってあまりいい話じゃない。
「一条組と手を結ぼうと思う」
「つまり、私は一条組のご子息と婚約するのですか?」
「ああ」
ほら、やっぱり。
そろそろだと思った。もう16歳になったしね;
「明日、一条組に行く。決めるのはそれからでいい」
「わかりました。準備しておきます」
婚約かー。なんか気が重い;
「さがっていいぞ」
「はい」
部屋から出てため息。
「疲れたー。…一条組ねー」
そんな何気ない一言さえも誰かに聞かれていたなんて…