おいちゃんまだまだ大丈夫と水道の蛇口
老人の笑みには、何か俺を、引き寄せる力があった。

老人は痩せていて小柄だが、目の光りが異様にキラキラしていた。

「こんばんわ。」

老人の声は、かすれているが、力強かった。

「何をしてるかは、簡単です。こういう物を苦しんでいる人達に与えています。」

老人は、ボケットから、ブレスレットを取り出した。
銀色のブレスレットだった。

ただの銀色のブレスレットだった。

俺は、疑いの目を向けた。

なんだ。いかがわしい物売りかと思った。

「ふふ、あなた今いかがわしいと思ったでしょう。
そりゃ当然だけど私は、そういう者ではないですよ。
お金などは、一切いただきません。

苦しんでいる人を助ける、一つのきっかけです。
水道の蛇口みたいな物ですね。」


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