誠姫
代わりに固く古びた畳の上。
見知らぬ風景の中、二人の男のまるで珍しいものを見るようなまじまじとした視線。
ようやくここが自分の部屋ではないことに気付いた姫芽は、とりあえずその男たちから離れるように大きく後ずさりをした。
「だ、誰!?」
だが、咄嗟の質問に答えることをせず、二人はとりあえずこの状況を実況しはじめた。
「起きた」
「あぁ、起きたな」
警戒心を存分に発揮させる姫芽をよそに、ゆったりとした空気を流していた二人は、面倒事はさっさと済ませようとするかのように、突然立ち上がった。
そして、長い綺麗な黒髪を後ろで一つにまとめた男が、凛々しい目で姫芽を見た。
いや、睨んだと言った方が正解だろう。
鋭い視線が姫芽を怯えさせる。
「着いて来い。聞きたいことが山ほどある」
お嬢様育ちで、命令口調が大嫌いなはずなのだが、男の不機嫌な声に素直に従う自分に驚いた。
何も言わず流れるポニーテールを追いかける。
そんな姫芽の後ろからは、ニヤニヤしながら着いて来るもう一人の男。