誠姫
「まあまあ、トシ、この子が正しいよ」
なんて暢気に言った。
「すまなかったね、私は近藤勇。新撰組局長をしているよ」
「え…?新撰組?」
聞きなれない単語に姫芽はとりあえず呟いてみた。
だが、そのまま自己紹介は続く。
「僕は一番組組長の沖田総司。よろしくね」
語尾を上げていう沖田は相変わらずの笑顔だった。
そして、そんな沖田から黙って口を噤む土方へと目線を移動させる。
「ほら、トシも名くらい名乗れ」
近藤に言われ、渋々口を開く。
「副長、土方歳三」
そんな最低限の言葉に満足などしないが、こちらも仕方なくといったように声を出した。
「西園寺姫芽です・・・」
「じゃあ姫芽くん、早速だがどうして女の子が一人であんな所に居たの?」
近藤が優しく聞くが、姫芽は正直土方の態度に苛立ちを感じていた。
「自分でも分からないですよ。まずあんなとこってどこ?私はどこに居たの?」