誠姫
「どうなってるの・・・?」
これは姫芽の父親のサプライズであり、この人たちは父とグルになって自分を脅かしていると思っていた。
でも、よく考えれば姫芽を知らないからこそこんな質問をするわけで・・・
更に混乱してきた姫芽は頭が重くなってくる。
「もうわかんないよ・・・」
小さく呟き、重力に引っ張られるようにカクンと頭を下げた。
「お願いっ私帰りたいの!!私を東京に連れてって!!四分の一程度はうちの家の敷地みたいなものだから、東京へ連れて行くだけでいいわ!家までなんて言わない!!」
必死で、涙目で、縋り付くように土方の方へと足を引きずった。
畳で膝がすれる。
だが、また期待外れな言葉。
「東京?どこだそこは」
「はあ!?」
これほどかというくらい大袈裟に驚いてみせるが、三人とも揃いに揃って首を傾げる。
「何言ってるの!?東京を知らない日本人が居るわけないでしょう!?東京よ!!日本の首都よ!!」
叫び声にも似た声。