誠姫
「知らねえな」
「どうして!?貴方たち馬鹿なの!?」
「馬鹿とはよく言ってくれたもんじゃねえか。お前、誰に口きいてんのか分かってんだろうな?」
「うるさいうるさい!!ありえない!!じゃあここは何処だっていうのよ!!」
不安と焦りで声も大きくなる。
だが、沖田は冷静に何事もないように言った。
「ここは京だよ」
そんな声色に連れられたのか、姫芽も少し大人しくなる。
「・・・京?京都ってこと?」
どうりで・・・と姫芽の目に散々映ってきた和風の匂いを理解できた。
だが、あまりにも昔過ぎる気もするが。
姫芽は吐けるだけの息を勢いよく吐き、後に背筋を伸ばした。
「だったら私、自力で帰ります!!」
「ほぉ」
「お金なら帰ればいくらでもあるし・・・西園寺の苗字言ったらツケにしてくれるよね・・・」
ボソボソと自問自答を繰り返す姫芽を黙って見つめる三人。