誠姫
「じゃあ、私を空港まで案内してちょうだい!!」
胸を張ってそう言った。
だが、またもや姫芽にとってありえない台詞が土方の口から漏れた。
「空港?どこだそこは」
「はあ!?」
「だから、空港はどこだと聞いている。もはや何だ空港とは」
瞬間、姫芽は頭の中で「ありえない」を数え切れない程連呼し始めた。
「貴方空港も知らないの!?もう救いようのない馬鹿ね。だったら電話を貸してちょうだい。悠に連絡して迎えにきてもらうから」
呆れた口調で言うが、土方はまたしても疑問系で返答をよこす。
「電話?何だそれは。そんなもんここには無い」
「はぁぁあ!?じゃあ貴方どうやって他と連絡とってるのよ!意味分かんない!!もういいわ、貴方たちには頼らない。ここを出る」
言って足に力を入れ、荒々しく立ち上がる姫芽を土方が「待て」という短く低い声で止めた。
「正体が分かるまで、お前をここから出せねえな」
「え・・・?何、言ってるの?」
突然の変わりように背筋に冷や汗を流し、怯えるように小さな返事を返す。