誠姫
「父様、母様、私はどうすればいいのですか・・・・?」
立ち上がり、桜を見上る。
不意に流れた涙がしょっぱかった。
「父様も母様も、悠も居ないこの世界で、私は誰を信じればいいのですか?」
自分の言葉でタイムスリップしてしまった現実を突きつけられた気がした。
涙は止まらず溢れ続ける。
沈み行く太陽の中、姫芽は静かに目を閉じた。
だが、涙はとめられなかった。
零れて零れて、桜の絨毯を濡らす。
「どうして!?どうして私なの!?」
もはや泣き叫ぶ声は、姫芽を探していた幹部たちの耳を掠った。
それを頼りに次々と集まり来る。
そして、一つの足音が姫芽の隣へと並んだ。
「帰るぞ」
突然の声に肩をビクリと上げるが、その声が土方のものだと理解するとゆっくりと力を抜いた。