誠姫
第二章
浅葱色に桜の花を
次の日の朝、まだ目覚めてからの視界に慣れない姫芽は何とも言えない表情で部屋を出た。
新撰組隊士はもう既に起床し、活動を開始していた。
姫芽はまだ眠い目を擦りながら土方の部屋へと向かった。
中庭を通る風が姫芽の綺麗な髪を揺らす。
それを鬱陶しそうに耳にかけ、土方の部屋の襖を開けた。
「誰だ。部屋に入る時は一声かけ・・・」
気配を感じたのか、言ってくるりと振り返った。
「おぉお前、起きたのか」
姫芽の姿を確認すると再び背を向け、仕事へと目を向けた。
姫芽は黙って土方の後ろに座り、セーラー服のリボンをくるくると人差し指で弄り始めた。
そして顔を歪め、口を開いた。
「ねぇ・・・・」
「何だ」
筆を持つ手を動かしながら、土方の生返事が帰ってくる。