誠姫
ほっと胸を撫で下ろした土方に対し、沖田の子供のような声。
「なーんだつまんない」
「最低!男って皆そんな生き物なの!?」
呆れた声を出す姫芽。
「皆ではない。屯所では総司と永倉くらいだ」
斎藤の回答に沖田の異論は続くが、無視して土方が話を進めた。
「そういうことなら早く言え。女用の着物なんぞ置いちゃいない。金をやるから買ってこい」
言って財布はどこだったかと、あらゆる棚を漁りだした。
「ですって。じゃあ斎藤さん買ってきてちょうだい」
当たり前のように言う姫芽に、流石の斎藤も疑問を持つ。
「何故俺が行かねばならんのだ」
それに対し、姫芽も真顔で頭に浮かんだ疑問を吐き出す。
「え?そういうことじゃないの?」
「馬鹿言え!てめーで行くんだよ。まあ、一人じゃ危ねーから斎藤、着いてってやれ」
財布を斎藤へと手渡しながら、言った。