誠姫
斎藤の無言の視線が姫芽へと向けられる。
「・・・・・・・・・・・・承知しました」
「ちょっと!!今の間は何よ!!」
「何でもない。早く行くぞ。お前のためにそう時間は注いでやれん」
言ってスタスタと歩き出す。
「いいなー僕も着いてこうかな」
沖田の暢気な声の後、相変わらずの土方の怒鳴り声。
「総司は今から巡察だろうが!!」
「えー土方さん何で僕の仕事把握してるんですか?気持ちわるー」
語尾を伸ばして笑う沖田に、土方の「うるせー」という大きな声が屯所内に響いた。
そんな声を背景に屯所を出た二人は、お互い違う、新たな疑問に包まれていた。
「あの、歩いて行くんですか?」
姫芽は隣を歩く斎藤に無表情を向けた。
それに無表情を返す斎藤。