誠姫
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すごく、視線を感じる。
背後とか、隠れて、とかそんな甘いもんじゃない。
姫芽は甘い団子を口に入れ、苦い顔をした。
「あの・・・斎藤さん・・・言いたいことは口に出してもらわないと困るんだけど。私エスパーとかじゃないから察せないわ」
視線の正体は目の前にいる斎藤であり、容赦なく姫芽をガン見し続けていた。
「・・・エスパー?」
やっと口を開いたかと思うと、そんな単語。
思わず使ったカタカナを後悔した。
「超能力のことを言うの。それで、貴方さっきから私のこと見すぎよ」
「あ、あぁ・・・悪い」
指摘されたことに対する動揺を隠すかのように、喉にお茶を通した。
「何か言いたいことがあるのならさっさと言ってちょうだい」
と言うが、姫芽は斎藤に話す暇を与えず、喋り続けた。
「それにしてもこの“団子”っていうものは串にさして食べるものだなんて知らなかったわ」