誠姫
「お前の国は団子は無いのか?」
「国っていうか、時代ね。団子はある。でも、私が食べるのはクリームやアイスが乗っていて、こうフォークを使って食べていたわ。あ、でも私金持ちだから本当はこうやって食べる団子もあるのかもしれない」
すまし顔で言う姫芽に、斎藤は少し引き気味で口を開く。
「金持ちかどうかなど自分で言うものではない気がするのだが・・・」
「でも本当にお金はあるの。西園寺財閥は有名よ」
最後の一つを口に放り込み、「よし」と立ち上がった。
「足ももう平気みたい。ごめんなさいね。行きましょう」
だが、タイミングが悪かった。
姫芽は何かを見つけ、驚いたようにピタリと動作を止めた。
それを見た斎藤が首を傾げる。
「西園寺・・・?」
と同時に、姫芽の視界にあるモノを共有した。
瞬間、斎藤の顔が不満げな様子に変わった。