誠姫
妙に説得力のある父の言葉に、本意無い声を上げた。
「そんなあ…」
「というのは建前だ。理事長が言い出したことで、何でも姫芽の制服姿が好きなんだとよ」
「お祖父様が?」
「それ程お嬢様の制服姿が美しいということですよ」
途中で挟まれた悠の言葉に顔を染め、まんざらでもなさそうに呟いた。
「制服姿なんていつでも見れるのに……」
姫芽の扱い方は悠が一番良く分かっている。
姫芽の承諾は、悠が促したものだろう。
「ではお嬢様、時間がありません。直ぐに着替えましょう」
「分かったわ」
「姫芽、今年は最高のサプライズを用意しているから、楽しみにしといてくれ」
父はそう言葉を残し、部屋を出た。
完全に扉が閉まったのを確認すると、姫芽は小さくため息をこぼした。
そして、
「仕方ない・・・悠!着替えるわよ!」