誠姫




予想外の姫芽の言葉に驚き、思わず筆を浮かせ、振り向いた。




「っはあ!?何で俺がんなこと・・・」




「悠はしてくれるわ」




「・・・・悠?」




「いつも私の一番近くに居てくれる人よ。両親よりも一番近くに・・・」




そう言った姫芽の顔は、どこか悲しく、崩れそうだった。




「そいつは、お前が寝るまで側に居てくれるのか?」



「えぇ、そうよ」




しんみりとした夜の空気。



土方はそれを壊すかのように、笑い話に変えた。




「餓鬼か、てめーは」




「うるさいわね」




月明かりとは関係なく、顔を少しばかり赤く染める姫芽。




< 58 / 74 >

この作品をシェア

pagetop