誠姫



「はい。こちらに」



既に姫芽の側には制服が届けられており、それを乱暴に受け取ると、隣の衣装ルームへと大股に向かった。



まだ4月で入学したばかりと言えど、初めて着るものではない。


着替えをするのに、そう時間はかからなかった。



今年のパーティーが制服なのは高校生になったからではない。



きっと大半の理由は学園理事長である祖父の我が儘だ。



ならば仕方ないと、姫芽はため息をつきながらも、あっさりと制服に袖を通した。



祖父は姫芽には妙に甘い。



初孫、一人孫、そして女の子ときた。



祖父にとって姫芽はどうしようもなく可愛いのだろう。



昔から何をしても許し、尽くしてくれるそんな祖父の願いなら、姫芽も喜んで受けるのだった。



「悠!髪型はツインテールでいいわ」



まだ見慣れない制服姿で登場した姫芽は、早速悠へと仕事を与える。



「かしこまりました。お嬢様・・・」



それに嫌な顔一つ見せず、姫芽を鏡台の前へ座らせ、サラサラの細い髪に手を掛ける。



そして10分とかからず、姫芽の髪が綺麗に結われた。



「・・・・・・まぁ、いいわ」





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