誠姫
「おいお前、寝るなら自分の部屋行け。その体勢辛いだろ」
と声を掛けるが、姫芽の目は堅く閉じている。
「おーい」
無理やりにでも起こそうと体を揺すってみる。
が、それさえも姫芽に目を覚ます気配はなかった。
それより、体を揺すったせいか、微妙なバランスが崩れ、そのまま畳に倒れこんだ。
「おいおい。まじかよ・・・」
土方は何かを確認するわけでもないが、困ったように辺りを見回した。
そして仕方なくいつものように布団をテキトウな場所に敷いた。
だが、そこで寝るのは姫芽。
荒々しい手つきで姫芽を布団に寝かせた。
「ったく・・・」
土方はため息をつきながら腰を下ろし、立てた右足に腕を乗せ、心地よさそうに眠る姫芽をじっと見つめた。
リズム感のある姫芽の呼吸が土方の眠気を誘う。