使者の黙示録
「シスター、あなたはその使者から、なにか重要な話を聞いてないかい?」

「いえ、私は…」


占い師に尋ねられても、心あたりがまったくないシスター・マヤは返答に困る。


「使者とはマザーのことですか?」

「さあ…使者が誰なのか、私には分からないが」


シスター・マヤの問いかけに、そう答えた占い師は

白い布に再び視線を落とす。


なにも記されていない、その空白には

占い師の彼女だけが見える何かが、現れているのだろう。

おそらく文字であろうそれを、彼女の目が追っている。

他人が見れば、とても不思議に思う光景ではある。

< 110 / 357 >

この作品をシェア

pagetop