使者の黙示録
彼女は団司の問いに答える。


「私は、ただのしがない占い師だよ」


団司の求める答えは、それではない。


「いや、それほどの能力をもつ者が、こんな所で何を企んでいるのかと」

「なにも企んでないよ」

「俺を呼んだのは偶然なのか?」

「神が導いた運命だろうね」


この先、団司と再び会うことを確信する彼女は、自分の名を団司に告げる。


「私の名はルゼフィーヌ。ルゼと呼んでくれ」

(いや、名前を教えられても…)


そう思う団司をよそに

ルゼは、団司の右手が置かれている白い布きれに、再度視線を移した。

< 125 / 357 >

この作品をシェア

pagetop