使者の黙示録
ルゼは、布きれに現れる文字を見ながら団司に語りはじめる。


「あなたは、いい歳をして仕事もせずに、ブラブラしているようだが」

「不景気だからね」


当然だというように、もっともらしい返事をかえす団司。

だが、ルゼは団司の本心を見抜いている。


「それが本当の理由じゃないよね?」


布きれに置いてある団司の右手が、ピクッと動く。


「あなたが仕事に就かないのは」


まったく別な理由であることが、ルゼには分かる。


「事が起きた際に、仕事にしばられて自由に動けなくなると困るからだ」


彼女には、嘘は通じない。

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