使者の黙示録
ルゼの悲痛な眼差しが、団司に向けられる。


「それは、避けられないことなのか?」


望みを託した彼女の問いに、団司が返したのは

絶望だった。


「人類は…もう、どうしようもないところまで行ってしまったんだ」

(なんてことだ!)


この地球上に人類が誕生して以降、ひたすら繰り返される命の奪いあい。

自分以外のあらゆるものを犠牲にしながら、己の正義をおし進める人類は

神が望む人類の姿から遠くはなれたままに、神の真意に触れることなく

本当に、神に見捨てられてしまうのか。


(まてよ?)


ルゼは、不意にあることに気づく。

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