使者の黙示録
(それにしては、妙だ)


ルゼに1つの疑問が浮かび上がる。


「人類が絶滅するというなら、なぜ使者であるあなたの存在があるのだ」


どうにも引っかかる。


「あなたが人類を救うのではないのか?」

「俺に人類を救うほどの力はないよ」

「じゃあ、あなたのやるべきことは何だ」

「君、それを調べてたんじゃなかったの?」


団司に問われたルゼは、その顔に悔しさを滲ませる。


「残念ながら、私には分からなかったよ」


彼女にしては珍しいことだ。

だが、それは

はっきりと断言できる未来が、まだ決定されていないことを意味している。

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