使者の黙示録
団司はシスター・マヤに聞かれたことには答えずに、逆に彼女に問いかける。


「シスター、君の神様への祈りは『そこまで』に届かないものなのかな?」


嫌味で言ったわけではない。

団司の言葉には、優しい温もりが伝わってくる。

しかし、その言葉は

シスター・マヤの胸に、いままでにないほどズシンと重く響いた。


(ああ、この人は、本当に大切なことを私に教えてくれる)


団司とはじめて会ったときの記憶が、はっきりと蘇る。

あのとき、団司のことを不思議な人だと思ったのが

つい昨日の事であったかのように、彼女は鮮明に思い出す。

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