使者の黙示録
団司の過去に犯罪歴はない。

犯罪歴のない人間が、闇の世界に手を染めるとすれば

莫大な借金を背負っているパターンがあるが

借金がまったく無い団司には、そのパターンは当てはまらない。


自分の部下とともに、再び団司の部屋にピッキングで入り込んでいる野瀬は

なにか見当違いのことをやっている気がしてくる。


殺風景な部屋の様子は

やるべき事を成し終えたあとは、すぐに引き払うようにするためとも考えられるが

悪に走る人間が放つ、どす黒く危険な匂いを

この部屋からは、これっぽっちも感じない野瀬である。

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