使者の黙示録
その理由をルゼは説明する。


「名前を知られると、危険な状況に巻き込まれる事もあるんだ」


悪事をはたらく人間にすれば、使者がもたらす能力は

彼らを脅かす、邪魔で危険な能力ともなり得る。

だとすると、使者は彼らにとって厄介な存在と見られ

その命を消し去ろうと、実行に移す輩が出てくるかも知れない。


「恐いですね」

「そうだね」


ルゼはシスター・マヤにうなずくように、そう答えながら

その胸の内では、団司に起きた現実をすでに捉えている。


彼女もまた、己の特異な能力により

ユリアナ教団の正体を知る人間である。

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