使者の黙示録
「ビシッ」と、壁にクラックが走る。

次から次へと連鎖反応を呼び起こすような、ひび割れは

瞬く間に四方の壁を、縦にのびる傷で埋めつくす。


地中に潜む悪魔の胎動を思わせるような巨大な揺れと地響きは、止まる気配がなく

神に祈りを捧げるための神聖な場所は

まったく身動きが出来ないまま、ひたすら恐怖にうち震えるだけの空間に変貌する。


ちょっとやそっとの揺れでは、簡単に倒壊することのない礼拝堂ではあるのだが

耐震設計をはるかに上回る激しい振動に

もはや、礼拝堂が崩れ落ちるのは時間の問題となる。

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