使者の黙示録
シスター・マヤは混乱しそうになる頭で、己の記憶を探りながら思考を巡らせる。

いま、なぜ自分の傍に占い師のルゼがいるのか分からないが

礼拝堂のなかで気を失う直前に見たのは、確か団司だったはずだ。


「あの、使者様は?」

「ああ、彼なら食料などの備品をさがしに出かけているよ」


ルゼが答える。


そのあと、シスター・マヤは大事なことを思い出した。


「マザーは、マザーはどこに?」


ルゼは、言葉の代わりに悲痛な面持ちをしたその顔を左右にふる。

シスター・マヤは、慌てたように礼拝堂の方へ視線を移そうとする。

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