使者の黙示録
しばらくして、水を口にしていたシスター・マヤが団司に問いかける。


「修道院のみんなは無事でしょうか?」


一瞬、ギクッとした表情を見せた団司は、彼女に聞かれたことには答えずに

修道院のある方とは逆の方向を指さして言った。


「ここは危険だ。余震が起こるかも知れないので、あっちに移動しよう」


団司はそう言ったが、ルゼには分かる。


(余震は起こらない)


「破滅の刻」は過ぎさり、冥界の門が完全に閉じたいま

地獄さながらの災害は、すっかり影をひそめ

もはや、わずかな異変も起こる恐れは感じない。

< 302 / 357 >

この作品をシェア

pagetop