使者の黙示録
修道院の敷地を囲むフェンスは、巨大な地震により一斉になぎ倒されたようになっているのを

後ろの座席にすわる少女たちは知らない。


団司の運転する車は、車道から歩道を横切り、倒れたエレガントゲートの上をそのまま通ったが

それほどショックを感じずに修道院の敷地内に入って行く。


車を止めた団司は、ため息をつき

助手席を降りたルゼは、後部のスライドドアを開ける。


車を降りたシスター・マヤが見たのは

ぺしゃんこに押し潰されたように崩壊した修道院だった。

水色の屋根が、信じられないほど低い位置にある。

彼女は自分の目を疑った。

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