使者の黙示録
団司には、災害が起きるまえから、修道院のマザーやシスターたちのたどる悲劇が分かっていた。

神から知らされていたその真実は、覆(くつがえ)すことのできない運命である。


それは分かっている。

分かってはいるのだが

団司の良心は、修道院のみんなを見捨てるようにして、己の使命に走った自分を許せなかった。


使者としての使命を果たすことが出来た団司だが

心に残る愁(うれ)いは、自分がこの世を去るまで己を責めつづけ

どこまでも苦しめるに違いない。


ルゼは、そういう団司の心情をしっかりと見抜いている。

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