使者の黙示録
「結局は、修道院にいたみんなの運命は変わらない」


そう言うルゼは、会社などの組織で働いたことなど一度もないのだが

なぜか彼女の言葉は、組織に属する人間よりも、ずっと説得力があるような気がする。


「あなたは、神からさずけられた使命を最優先で果たしただけだ」

「……」

「修道院のことは、あなたには全く責任はない」


それでも、まだ愁いをぬぐい去ることができない団司の心を

母性愛を感じさせるようなルゼの言葉が、優しく諭す。


「あなたが背負うべき罪は、どこにもないんだ」


それは、団司の心がもっとも欲している言葉だった。

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