使者の黙示録
2011年3月――

三陸沖を震源地とする、当時日本観測史上最大の地震が発生する。

東北から関東まで、広い範囲にわたって甚大な被害をもたらしたこの災害は

福島県にある原子力発電所が、放射性物質を飛散する事故を招いた。

それは、水素爆発で建物の壁が吹きとび

設備内部においてはメルトダウンの状態にまで陥るという、過去にない大きな原発事故である。

原発の安全神話が崩壊するとともに、全国民が震撼する。

政府ならびに電力会社の信用は一気に失墜し、原発の完全廃棄が叫ばれる。


だが、世の中は、世論にさからうように動いて行った。

< 336 / 357 >

この作品をシェア

pagetop