使者の黙示録
「し、使者よ!」


慌てて叫ぶようなルゼの声に、団司は驚かされる。

ルゼはその顔に冷や汗を滴らせながら言葉をつづける。


「世界中にある原発施設が無事だとは思えない。原発が事故を起こしたとなれば…」


生き残った人々の命にかかわるような、深刻な影響を与えるのではないか?


どうしようもない不安にかられるルゼに

団司は、間が抜けるような口調で返した。


「ああ、そっちの方は、なにも心配しなくていいと思うよ」


団司の思わぬ返事に、ルゼは唖然となる。

彼女とは対照的に、のほほんとしている団司の様子が、ルゼには信じられない。

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