使者の黙示録
ルゼにすれば、事は自分たちの生死に直結する重大な問題だと思うのだが

団司はなんの憂慮も抱かずに、のんきに構えている。

ルゼには、その理由が分からない。


ルゼの心情を察した団司が、ニマッと微笑む。


「核物質と呼ばれるものは、まったく無害な別の物質に変化しているはずだよ」

「え?」

「君が言ってた『うす紫の雨』の作用でね」


核燃料に使用する、あるいは核ミサイルに搭載する核物質は

団司の言うとおりに、まったく害のない物質に変性しており

原発は設備内部までも崩壊した状態にあれど、やっかいな放射性物質は発生すらしていなかった。

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