使者の黙示録
団司の話を呆然となって聞いていたルゼは、やがて静かに口をひらく。


「それは…神が、生き残った私たちのために…」

「いや、違う」


団司の予期せぬ言葉が、ルゼの口をふさぐ。


「世界中で放射性物質が発生して、それが拡散されると、生態系に影響が出るだろう」

(確かに)

「人間以外の動物、昆虫、植物には、なんの罪もない」

(……)

「これは人間のためじゃないんだ。本当なら、人類は」


落ち着いた、優しい口調で話す団司だが

その言葉には、神の厳しさがうかがえる。


「絶滅するはずだったんだからね」

< 340 / 357 >

この作品をシェア

pagetop