使者の黙示録
(それが、神の描くシナリオか…)


そう思ったルゼが、不意に団司に尋ねた。


「あなたは、救世主にはならないのか?」


神と交流することが可能な団司であれば、救世主となる資質も充分に備えているはずだ。

しかし、団司は首を横にふる。


「神が救世主に選んだのはシスターだ。俺じゃないよ」


ルゼは、あくまで神の意志にしたがおうとする団司に感銘をうける。

神の力でラドレア病をも治せるなら

そういう自分がカリスマ的存在になろうと考えても、おかしくはない。


団司が求めるのは、人間の内にわき上がる欲望ではなく、神なのだ。

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