狼様の愛のカタチ理論【番外編】
全く違うだなんて
子供が出来たのは嬉しいけど、そうなると怖い
「大丈夫…かな」
「なんだ、この前まで欲しいと駄々をこねてたのは演技だったのか?」
「そうじゃないけど…」
ギュウと不安をぶつけるように手を握ると、扇李はその手に唇を落としそっと握りしめる
「不安なのは仕方がない」
「………」
「だが、沙優は一人じゃない。我もいる、それに皆がいるだろう?だからそんな顔はするな」
手を伸ばし、チュと触れるだけのキスが私を襲い、そのキスがあまりにも優しくて笑みが零れた
「…う、んっ」
そっか、そうだ。私には皆がいるんだ…だから大丈夫
「ありがとう、扇李」
「いや、それより本当は今から一緒にいてやりたいが…仕事がある」
「え?…あ」
そうだ!扇李、集会!!
「ごめん、わたし」
「いや、いい。今日はもう大人しく部屋にいろ」
「…はい」
「それと、このことは右汰や左汰とサイ以外にはしばらく言うな」
「うん」
「よし、なら我は戻る」
私から離れて、ポンポンと頭を撫でてから扇李は部屋の鍵をあけて、静かに部屋を出て行ってしまった
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