狼様の愛のカタチ理論【番外編】



「なんだ?機嫌取りのつもりか?」


「そ、そんなんじゃないけど…ご、ごめんね?で、でも扇李は何も言わないし…海鈴さんは強引だからっ」


「わかっている。だから余計にムカつくだけだ」


私の肩に手を回し、来た時とは正反対に優しく私を促す


「じゃあ…そんなこと言うなら扇李も踊ってよ?開き直るなら…いいでしょ?」


私だって、海鈴さんより扇李と踊れたらどんなに嬉しいか


胸がドキドキして、脚が震えるかもしれないけど


たぶん、凄く幸せな気持ちになれる


「ね?」


両手を合わせて扇李をみれば、チラリと私をみてすぐにその視線は反らされてしまう


だけど、数秒もしないうちにため息と同時に扇李が口を開く


「まぁ…気が向いたらな」

「ほ、本当に?」

「あぁ、だが…ダンスは得意じゃない。だから期待はするな」

「う、うん!」


気が向いたらでもいい…扇李と踊れるなんて嬉しい!


無意識に笑みを浮かべて扇李とのダンスを頭で想像してしまい


胸がギュウーとなりながら、私達は会場に戻った―…




< 90 / 121 >

この作品をシェア

pagetop