キミは嘘つき蝶々
藤森アンナ

森口カンナ

カリカリとリーダーのノートに二人の名前を書き付けた。

その上に書いた二人の似顔絵は、自分でも、ドン引きするほど似ていないが、まあそれは置いとくとして。
ケホっと咳をもらし、机に置いといたミネラルのペットボトルを煽る。

あの後

美佳とヤスに、回想から無理やり引き戻された俺は、これまた無理やりカラオケボックスに連れ込まれ、

なぜかヤスによる、ラ○のラブソングを異常に至近距離で繰り返し聞かされ、

そのあまりの不快さにヤスからマイクを奪い、

結果喉を潰すまで歌うと言う不本意な状態に陥っていた。

「朝まで帰さない」と、張り切って腕にまとわりつくうるさい二人を、なんとか振り切り家にたどり着いたのは二時間前。

リーダーの課題でもやろうと、自室でノートを広げたのは一時間前。

しかしながら、モヤモヤしたまま課題は一向に進まず、森口の似顔絵を書き出して、今に至ると言うワケだ。







< 101 / 130 >

この作品をシェア

pagetop