キミは嘘つき蝶々
……こ、ここに来て、新キャラ登場かよ。

めまいを感じて、頭を押さえながらうなだれる。

完全パニックだ。

理解が追い付かない。

いや待て。

確か松宮が

解離性同一性障害の患者は2人から100人以上の人格を有する。

とか、言っていたな。

まさか、 考えたくないが………

「……まだ、他にもいるのか?」

恐る恐る尋ねる。

レイナはニッコリと無慈悲に微笑んでうなずいた。

「いるよ?
三歳のアン。
アンはほとんど現れないレアキャラなの。
私もまともに話したことないんだ。
ま、会えたとしても泣いてばっかで会話にならないんだけど」

………こ、子供人格までいるのか。

一人の身体に4人の人格。

わ、ワケがわからん。

「ねぇ、片桐くん」

レイナは再びうなだれた俺に近づくと、肩にしなだれかかった。

「片桐くんはカンナが好きなの?」

突然の質問にびっくりして顔をあげる。

「どうなの?」

甘えた声を出しながらも目は笑っていない。

その真剣な眼差しが居心地悪くて、俺は彼女から顔を逸らした。

「あんたには関係ないだろ」

冷たく答える。

森口にすら、何も伝えてないのに、彼女以外の人格に「好きだ」何て言えるかよ。

大体、

交代人格同士の記憶の繋がりはどうなってるんだ?

レイナがアンと話したってことは、人格同士で会話が出来るってことなのか?


「………関係なくないわよ」

レイナは不満げにそう言うと、俺の顎を掴み、無理やり自分に向かせた。

「私は、森口カンナから解離した人格なんだから」





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