キミは嘘つき蝶々
溜息をついて、再び時計を眺める。

あと、5分。

あと5分待っても来なかったら――…。


――…もう、辞めよう。


頭から森口を追い出して。

二度と目で追ったりもしない。

告白してくる適当な女の子と付き合って、楽しくやるんだ。

そうだよな。

そっちが俺らしいよな。



そう決意して――…






……………20分経過。



「ムカつくっ」


あのダサ眼鏡め!

どんだけ焦らしたら気がすむんだ!

ああ、わかったよ!

お前がそのつもりなら帰ってやるよ!

くそっ!

後で後悔すんなよ!

取り返しきかないからな!

下駄箱からローファーを取り出し、乱暴に床に投げ付ける。

上履きを脱ごうとして、

聞こえた足音に俺は顔をあげた。
< 19 / 130 >

この作品をシェア

pagetop