キミは嘘つき蝶々
「え、あの、でも」

「でもじゃねーよ!
大体、そうやって、いつもビクビクしてるから、あいつらに良いようにつけこまれるんだよ!
嫌ならきっぱり断れよ!」

イライラして声を荒げる。

森口は俯いたまま、青ざめて眼鏡を押し上げた。

「……す、すみません」

消え入りそうな小さな声。

細い肩が小刻みに震えている。

どうやらすっかり彼女を怯えさせたらしい。



俺は唇を噛み、横を向いた。



……なにやってんだよ。俺。



乱暴に前髪をかきあげる。



別に

こんなこと言うために1時間近くも待ち伏せしてたわけじゃねーだろ?



俺は、


俺はただ、森口に……―




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