キミは嘘つき蝶々
追い縋るように、手を伸ばしかけた俺の目の前で、バタンとドアが閉まった。

森口はペコリと礼儀正しく頭を下げると、そのまま背を向け、歩き出した。

華奢な背中が遠ざかっていく……



くそ!

俺は腕を下ろし、拳を握りしめた。



なんで勝手に帰るんだよ!?

まだ話も終わってないのに!

何の為に俺が1時間近くも……



………何の為?



……だよな

俺は何の為に森口を待ってたんだ?

こんなに必死に森口を追いかけて、

何を言うつもりなんだよ?


「ヒロ?」

黙り込んでいる俺を不思議に思ったのか、美佳が背後から覗き込んできた。

「………美佳」

「ん?」

肩越しに振り返る。

俺はじっと美佳を見下ろした。
< 24 / 130 >

この作品をシェア

pagetop