キミは嘘つき蝶々
森口カンナは

紛れも無く、ダサ女だ。

瓶底眼鏡に、ぎっちぎちの荒縄みたいなミツアミ。

微妙な長さの膝下スカートに、なぜか白のハイソックス。

同じ高校の制服でも
着る人間が違えばここまで印象が変わるのかという、悪いお手本みたいな女だ。

話し掛けても俯いてブツブツ小さな声で喋るし、積極的に人の輪に入ろうともしない。

目立たず、大人しい、いるんだかいないんだか判んないくらいの、毒にも薬にもならない女。

だから

俺には一番、縁遠い存在だと思ってたんだ。

一生拘わり合うことなんてないと思ってた。

……二学期に

入るまでは……。
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