キミは嘘つき蝶々
「これって、イジメですか?」


…………。


「ああ!?」

怒りに顔が引き攣らせて乱暴に問い返すと、森口はひいっと喉を鳴らして顔の前で腕をクロスさせた。


「え、あのだって、片桐くん。不良グループの番長だから、鞄を取り上げて脅すつもりなのかなって」

「誰が番長だ!」

「ええっ。でもあの安原くんを手下にしてるから、てっきりそうかと。
じゃあ、安原くんが番長なんですか?」


…………。



俺はがっくり肩を落として、頭を抱えた。

以前から、俺に対してやけにビクビクしてることは感じていたが。

まさか、そういう目で見られていたとは。


ショックでなんだか座り込みたい気分だ。


しかし、

番長ってなんだ?


古すぎだろ?


ありえねーっつうの。



「イジメじゃねーよ」

ぶすっとしてそう言うと、森口は恐る恐る腕を下ろして、首を傾げた。

「え?
じゃあ、なんで?」


…………鈍感ダサ眼鏡。



心の中で毒づく。

俺は溜息をついて、方向転換すると大股で歩きだした。
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