キミは嘘つき蝶々
「罰ゲームですか?」

……………。

はいはい。次はそういうオチなわけね。

頬を引き攣らせ、がっくりうなだれながら、後頭部をガシガシかく。

「別に理由なんか、どーでもいいだろ。
それとも、俺と帰って何か不都合があるわけ?」

「………え?」

何気なく言ったのに、森口は一瞬、ギクリと肩を揺らした。

………なんだ、その反応。

「見られたら困る奴とか、いるのかよ?」

険しい顔で探るように言うと、森口はブンブン首を振った。

「め、滅相もない!
で、でも片桐くんは今をときめくスターですから!
私なんかと歩いて誤解とかされたら、困らないですか?」

言いながら、森口が前方を歩く制服の集団にちらっと目を向ける。

噂話でもしているのだろう

何人かの生徒がこちらを伺いながら、クスクス笑っあっている。

奴らの視線から逃れるように、森口は赤くなって俯いた。

ちっ。

見てんじゃねーよ。

不機嫌に睨み据えると、奴らは怯えたように、顔を逸らした。
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