キミは嘘つき蝶々
森口を半強制的に家に送り届けてから早3日。

俺はあれからと言うもの、明らかに森口に避けられていた。

席に近づこうとすれば逃げるし。

休み時間も昼休みも雲隠れだし。

放課後は声をかける間もなくダッシュで帰っていく。

未だかつて、女に避けられると言う経験がなかっただけに俺の精神的ダメージはかなりデカい。

くそ。

なに?俺、森口に嫌われてんの?

抱きしめたからか?

キスしかけたからか?

もしくは始めから嫌われていたのか?

だったら、どうすりゃいいんだよ?

「ヒロー、どうしたんだよー。
なんか顔怖いよ?
凶悪犯並みだよ?
この顔見たら110番だよ?」

昼休み。

騒がしい教室でも一際騒がしいヤスが俺の机に顎をのせ、眉間の間にシワを作った。

そんな顔をすると、眉に傷のあるヤスの悪人面がますますひどいことになる。

「……凶悪犯はお前だ。
今すぐ自首しろ」

ぷいっと顔を逸らすと、ヤスは「ひどーい!!俺、善良な一般市民なのに!!」とどこからだしたのか、白いフリルのハンカチを噛んでむせび泣いた。

ああ、うっとうしい。

めっさくさうっとうしい。








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