キミは嘘つき蝶々
好きだ

そう、言えたら、この息苦しさは消えるのか?

でも、もし森口に拒絶されたら、俺はもう彼女に近づけなくなる。

遠くから見つめることしか許されなくなる。

白い頬に触れることも、キスすることすら叶わない。

その上、あんなことやこんなことも、そんなことすら出来なくて、欲求不満を溜め込んで、妄想のみの片思い……

「………んな中坊みたいな禁欲生活、この俺様が耐えられるかっての!!」

「へ?」

真っ赤な顔の森口が小首を傾げて問い返す。

「別に。なんでもねー」

俺はぷいっと顔を逸らして、頬杖をついた手で赤くなった顔を隠した。

しんと再び沈黙が流れる。

森口はそわそわと居心地悪そうにこちらを伺っていたが、俺が何も話さないつもりだと判断したのか

「じゃ、じゃあ私そろそろ教室に……」

と、本をまとめて立ち上がりかけた。

瞬間、無意識に手が伸びる。

「ひえ!?」

気づいたら俺は立ち上がって、引き止めるように彼女の手首を掴んでいた。


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