キミは嘘つき蝶々
「くそっ」

椅子を蹴って立ち上がる。

こんな風にこじれるくらいなら

いっそ、思い知らせてやろうか?

俺様は

森口カンナが好き、

なんだって。

大股で書架を突っ切り、受付にパソコンの使用許可書を叩きつけると、図書室を出た。

受付の女とか周りの生徒が驚いたように注目してたけど、どうでもよかった。
森口を探しながら廊下を早足に歩く。

階段を降りて一年の校舎にたどり着くと、

「ヒロ〜」

わらわらと美佳を中心とする派手な女どもが近寄ってきた。

「どこ行ってたの?
探したんだから」

「ねぇ〜、アキね手作りのクッキー作ってきたんだけどぉ、ヒロも食べるぅ?」

「え?
あんた、あんなげろマズなものヒロに食べさせる気?ヒロがお腹壊したらどうすんのよ」

「やだぁ!
絶対、マズくないもん!」

「味見してないくせに、よくそんなこと言えるよね。自分で食べてみなさいよ。トイレ駆け込みたくなるから」

「ひどおぉぉい沙希ちゃん。しくしく」

「ねーそんなことよりヒロ今日の放課後こそさ」

「今、忙しい」

煩わしい美佳とその仲間たちの会話にイライラしながら、まとわりつく腕を振り払う。

教室に入ると、すぐに自分の席に座る森口を見つけた。


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