キミは嘘つき蝶々
結局のところ、

教室を飛び出すという行為は、ムッツリ松宮に敗けを認めたことになるわけで。

いや、それ以前に学生の本分を逸脱した行為……つまるところ単なるサボりになるわけで


俺はあっさり見回り中の学年主任に捕獲され、長い説教をくらったあと、教室に強制送還された。

いきがって飛び出して行ったワリに、なんとも格好のつかない、マヌケな落ちだ。

教卓に立った国語の教師が意味不明の漢文にレ点を打っている。

くそ、レ点ってなんだよ。
なんでわざわざひっくり返すんだよ。

分かりにくいんだよ。


机に頬杖をつきイライラと足を揺する。

思いの外アクションが大きすぎたのかガタガタと椅子と机が騒音を立て、地震のように教室が揺れた。

チラチラと周りの奴らが怯えたような視線を向けてくる。

俺は、不機嫌まるだしで、黒いオーラをまといながら森口の席を睨んだ。

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